1000文字以内で、推理小説を書いてください。壮大などんでん返しが後半にある、布石が散りばめられた冒頭部分を書いてください。舞台は冬山、墜落した飛行機の残骸に、生き残った数人の人間がいる。サバイバルをしなければならない状況なのに、主人公は不可解な死体が気にかかる。そこから紐解かれる、墜落事故と絡み合いそうで絡まない、悲劇的なストーリーをください。

墜落から三日目、私たちは絶望的な現実を受け入れ始めていた。

「食料はあと二日分しかない」医師の田中が震え声で報告する。機体後部に身を寄せ合う生存者は五人。操縦士の山田、客室乗務員の佐藤、商社マンの鈴木、そして私—刑事の森本だ。

外は猛吹雪。救助を待つしかない状況で、私の視線は一つの異常に釘付けになっていた。

「あの死体、おかしくないか?」

座席14Aで息絶えている中年男性を指差す。他の犠牲者と違い、外傷が見当たらない。そして何より奇妙なのは—

「この人だけ、シートベルトしてないんです」佐藤が震え声で言った。

「墜落の衝撃で外れたんでしょう」鈴木が苛立たしげに返す。「そんなことより火を…」

「いや、違う」私は死体に近づいた。「ベルトは最初から締められていない。しかも、この表情…苦悶じゃない。むしろ安らか過ぎる」

田中が診察すると、瞳孔は収縮し、唇に微かな泡の痕跡。「これは…毒物の可能性が」

その時、山田操縦士が震え声で告白した。

「実は…この便、本来なら飛ぶ予定じゃなかった。急遽、一人の乗客のために特別運航が決まったんです」

全員の視線が14Aの死体に集まる。

「彼が…?」

「ええ。多額の金を積んで、どうしても今日中にこのルートを飛んでくれと」

私の刑事の勘が警鐘を鳴らす。なぜ彼はそんなに急いでいたのか。そしてなぜ、墜落前に死んでいるのか。

佐藤が震え声で言った。「搭乗前、すごく怯えた様子で…『もう逃げられない』って呟いてました」

「逃げられない?何から?」

その答えは、男性の内ポケットから見つかった遺書に書かれていた。

『会社の金を横領した。発覚は時間の問題。家族に迷惑をかけたくない。この旅が最後になる』

だが私には確信があった。これは墜落事故を偽装した完全犯罪—ではない。

真実はもっと悲劇的だった。

男性は服毒自殺を図り、苦しみの中で操縦席に倒れ込んだ。山田操縦士は彼を救おうと操縦桿から手を離し、制御を失った機体は雪山に墜落したのだ。

「僕が…僕が彼を助けようとしなければ」山田が慟哭する。

死にたがった男の命を救おうとした優しさが、五十人の命を奪った。皮肉な運命に、私たちは言葉を失った。

外では救助のヘリ音が響き始めていた。

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