1000文字以内で、推理小説を書いてください。壮大などんでん返しが後半にある、布石が散りばめられた冒頭部分を書いてください。舞台は冬山、墜落した飛行機の残骸に、生き残った数人の人間がいる。サバイバルをしなければならない状況なのに、主人公は不可解な死体が気にかかる。そこから紐解かれる、墜落事故と絡み合いそうで絡まない、悲劇的なストーリーをください。

極北の雪山は、地獄だった。プロペラ機が墜落してから三日が経つ。轟音と共に真っ二つになった機体は、分厚い雪に埋もれ、白い墓標のようだった。氷点下二十度を下回る気温が、燃料の尽きた機内を容赦なく凍らせていく。奇跡的に生き残った生存者は五人。医者の卵、寡黙なビジネスマン、ヒステリックな女性、そして私。それぞれが毛布にくるまり、凍えながらも、かすかな希望を繋いでいた。

食料と水は底を突きかけていた。外に出れば猛吹雪。このままでは凍死か餓死か、いずれにせよ緩やかな死を待つばかり。サバイバルを最優先しなければならない状況なのに、私の視線はある一点に釘付けになっていた。

客室の最奥、非常口のそばに横たわる男性の死体だ。 彼は、墜落の衝撃で即死したわけではない。私たちが意識を取り戻した時には、すでにそこで息絶えていた。温厚そうな顔立ちの中年男性で、確か「ハヤカワ」と名乗っていたはずだ。彼の周囲には、他の誰よりも分厚い毛布が重ねられていた。生存者たちは彼を「可哀想に」「安らかに」と悼んだ。だが、私にはどうしても違和感が拭えなかった。

毛布をそっとずらす。凍りついた白い肌が覗く。そして、首筋に走る、おぞましいほどに鮮やかな青黒いアザ。凍傷とは明らかに違う、くっきりと残された指の痕だ。さらに、その冷たく硬直した右の手のひらには、何かが強く握りしめられていた。開かせようとすると、わずかに乾いた血痕が剥がれ落ちる。

「おい、何を触っているんだ」 低く唸るような声がした。寡黙なビジネスマン、タカハシだった。彼の顔には疲労と苛立ちが滲んでいる。「死者に鞭打つような真似はよせ。彼はもう苦しんでいない」 「ですが、これは…」 私は言いかけた言葉を飲み込んだ。タカハシの目は、私を射抜くような鋭さを持っていた。他の生存者たちも、私と死体を交互に見る。医者の卵は視線を逸らし、ヒステリックな女性は毛布に顔を埋めた。

彼らは気付いているのか?それとも、気付かないふりをしているのか? 機体の破損状況から見て、墜落による直接的な外傷で死んだようには見えなかった。首のアザは、墜落後に誰かの手によってつけられたものだと直感的に理解できた。そして、その手がかりを、ハヤカワさんは最期の瞬間に握りしめていたのだ。

極限状態の中、人間は獣になる。それは理解していた。だが、これは単なるサバイバル中の偶発的な事件ではない。墜落事故の混乱に乗じて、誰かがハヤカワ氏を殺したのだ。そして、その犯人は、今この狭い空間に、私たちと共に閉じ込められている。

あの墜落事故は、本当にただの事故だったのだろうか?不可解な死の真相を解き明かさなければ、私たちはこの白い地獄から、決して生きて帰れない気がした。そして、それは、墜落そのものよりも、ずっと深い闇の始まりに過ぎないのだと、直感が告げていた。

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