1000文字以内で、推理小説を書いてください。壮大などんでん返しが後半にある、布石が散りばめられた冒頭部分を書いてください。舞台は冬山、墜落した飛行機の残骸に、生き残った数人の人間がいる。サバイバルをしなければならない状況なのに、主人公は不可解な死体が気にかかる。そこから紐解かれる、墜落事故と絡み合いそうで絡まない、悲劇的なストーリーをください。
機体の残骸は吹雪に埋もれ、静電気の火花さえ凍りついていた。生き残ったのは五人。山岳医の春川、元パイロットの老紳士・貝塚、国会議員秘書の美弥、無口な彫刻家・レオン、そして高校生の夏生。雪洞代わりの胴体で、私は一つの遺体の前から離れられずにいた。
男は他の乗客と違い、火傷も骨折もない。胸に残った細い穿孔と、手に握り込まれた黒い羽根だけが不気味だった。墜落でこんな傷は出来ない、と医者である私は知っている。さらに奇妙なのは座席表だ。生存者が拾ったプリントによれば、14Cには「春川仁」と記されていた――だが私は本来、33Aに座っていたはずだ。
誰かが名簿を改竄したのか、それとも私の記憶がおかしいのか。貝塚は「燃料漏れでエンジンが止まった」と分析し、美弥は遭難信号を送るため残ったバッテリーを分解しようと急く。だが私は遺体の腕時計が二一時一七分で止まっていることに気づく。その時刻、私は機内で幻のような機械音を聞いた――「再起動完了」という、飛行機には似つかわしくない低い声を。
雪がやみ、月が出た。レオンが氷壁に彫った奇妙な紋章は、遺体の羽根と同じ形をしている。夏生は震えながら言った。「先生、その人…まだ息してますよ」――凍りついた瞼の奥で、男の眼球が微かに動いた。
私たちが生き残った理由と、彼が死ねない理由は同じなのかもしれない。けれど真実が明るみに出る時、ここで最も深い罪を抱えた者が、私自身だと知る者はまだいない。