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あなたは古びた路地を歩いている。雨上がりの夜、街灯の光が濡れた石畳に反射する中、ふと路地奥にひっそりと建つ建物を見つける。看板には「逆老化図書館」とだけ書かれていた。扉を押すと、埃と古紙の匂いが鼻をくすぐる。内部は無限に続く書架で埋め尽くされ、誰もいない。

あなたは無意識に一番近くの棚から一冊を引き抜く。表紙にタイトルはない。ページをめくり始めると、文字が光を放つように感じる。最初の章を読み終えた瞬間、背筋に軽い痺れが走った。鏡に映る自分の顔が、ほんの少し若返っている。目尻の皺が薄れ、髪の白髪が一本減っている。

あなたは驚きながらも、次の本を手に取る。恋愛小説だ。ページを繰るたびに胸が熱くなり、読み終える頃には二歳ほど若返っている。指先のしわが消え、関節の痛みが和らいだ。あなたはさらに本を求める。歴史書、SF小説、詩集……一冊読むごとに、確実に年齢が逆戻りしていく。

書架の奥へ進むと、床が少しずつ高くなり、天井が低くなる。あなたは三十代の体を取り戻し、二十代の活力を感じる。だが、止まらない。哲学書を一冊読むと、十代の無邪気さが蘇る。子供の頃の記憶が鮮やかになる。

あなたは走るように本を手に取る。もう五十冊以上読んだ。体は十歳の子供のものになっている。声は高く、服は大きすぎる。だが、好奇心は抑えきれない。最終の書架に辿り着く。そこには一冊だけ、黒い本が置かれていた。

あなたはそれを手に取る。ページを開くと、自分の名前が書かれている。生まれた日から今日までの人生が、詳細に記されている。最後のページに、あなたの現在の年齢が「0歳」と書かれていた。

読み終えた瞬間、すべてが暗転する。あなたは再び、路地に立っている。雨が降り始め、看板は消えている。あなたの手には何も持っていないが、心臓の鼓動が幼いリズムを刻んでいる。もう一度、逆老化図書館を探し始める。

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